コラム

公益通報者保護法

公益通報者保護法について②~公益通報窓口設置義務~

弁護士 小島梓

 今回は、公益通報窓口設置義務についてご説明します。以降、令和2年6月8日の改正法については、令和2年6月改正法と表記します。

(1)義務の内容
 従業員数が300名を超える企業は、公益通報を受け付けて調査を行い、是正措置をとる業務について担当者を決め、体制を整備するなどの措置をとらなければならないと定められています(令和2年6月改正法11条1項~3項)。これは、「公益通報受付窓口」の設置義務を定めているものになります。令和2年6月の改正により新たに義務化された点です。すなわち、一般的に内部通報窓口と言われているものが、この公益通報窓口に該当するものになります。

 もっとも、会社にて設けられている内部通報制度が公益通報者保護法の要件を満たしていなければ、如何に内部通報窓口を設置していても、公益通報窓口設置義務を果たしているとは言えません。形式ではなく実質を見る必要がありますのでご注意ください。

(2)義務違反の罰則
 令和2年6月の改正において、公益通報者保護法違反につき、はじめて罰則が定められることになりました。
 公益通報窓口設置義務違反、すなわち、義務があるのに、公益通報受付窓口に該当する窓口の設置がなされていなかったり、内部通報制度の運用に問題があったりした場合も罰則が設けられました。

 まず、令和2年6月改正法施行後は、義務違反が発覚した場合、内閣総理大臣から事業者に対して報告を求められたり、助言、指導若しくは勧告を受けたりするケースが出てきます(令和2年6月改正法15条)。
 さらに、当該勧告に従わなかった場合、会社名が公表される恐れもあります(令和2年6月改正法16条) 。

 行政指導を受けるという事態になることが会社にとって好ましくないことは間違いありません。その意味でも、今から、令和2年6月改正法の内容についてよくご確認いただき、自社に必要な対応を早めに取り始めることをお勧めします。