コラム

内部通報支援業務

内部通報支援業務⑤~内部通報制度の構築支援(4)~

弁護士 小島梓

 前回まで,内部通報窓口を社内に設ける場合についてご説明をしてきました。昨今では,一般的になりつつありますが,内部通報窓口を社外に設ける会社も増えてきています。

 内部通報窓口を社外に設けるとして,適切な委託先はどこか,その意義などご説明していきます。

 社外窓口を設ける場合の主な選択肢として考えられるのは,法律事務所と民間業者になると思います。
 社外窓口を探している多くの担当者からは,以下のような質問を受けます。

〇民間企業でも社外窓口業務を取り扱っているが,法律事務所に頼むメリットはどこにあるのか。
〇顧問弁護士の法律事務所に内部通報窓口を設置しているが問題ないだろうか。

 結論から申し上げますと,通報対象事実が基本的に法令に違反している(もしくは違反していると思われる)事実に限られている場合には、当方としては,顧問弁護士ではない法律事務所に内部通報窓口業務を委託することをお勧めします。

 以下、簡単にその理由をご説明します。

 弁護士は,法的知識を有していることはもちろんのこと,日ごろから,法律相談等により事実を法的に引き直す訓練をしています。

 通報を受けた経験から申し上げますと,内部通報の聞き取りにおいても,まさにこの作業、すなわち通報を受けた事実が法令違反に該当する可能性があるか否か法的に引き直して検討、ご報告する作業が必要となります。

 他方、民間業者において聞き取り業務を行うのは,通常は有資格者ではありません。そのため,上記のような聞き取り作業,報告は困難と考えられます。

 そのため,当方では,基本的には,外部窓口の依頼先としては,法律事務所をお勧めしています。さらに、可能であれば、顧問先以外の法律事務所を利用することをお勧めします。(窓口設置場所については別のコラムでさらに詳細をご説明予定です)
 ただ,それぞれの企業のご事情、ご希望によって、適切な窓口設置場所も異なりますので、迷われている場合には一度ご相談いただくことをお勧めします。